Weekly Report | Week of 2, August

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注目トピック

市況・投資領域

BTC、軟調な展開

 

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(引用元:coinmarketcap「Bitcoinチャート」

14日から15日にかけてのBTC相場は、米中摩擦緩和を受け朝方に11000ドルを割り込むも、9700ドルレベルまで下落しています。中国からの輸入品3000憶ドル分に9月から10%の追加関税をかけるとしていた米国が、PC、スマホ、ゲーム、おもちゃなどを12月まで延期するとしたことで、リスクオフポジションが巻き戻される中、BTCも11000ドルを割り込みました。

その後香港国際空港が正常業務に戻り、また米大手コインベースがバークレーズとの提携を解消したと伝わると10500ドルレベルに下落し、更に英当局が証拠金最大手BitMEXに誤解招く広告表示と注意を行ったこともあり、10500ドルを割り込むも、独GDPがマイナス成長に陥り、米2-10年債も逆イールドとなる中、一旦は値を戻しました。しかし、その水準を維持できず10000ドル近辺まで値を落とすと、アルトコインも総崩れの展開となりました。

ブロックチェーン関連の世界支出、2023年に約1兆6908億円に到達か
米市場調査会社IDCは、ブロックチェーンソリューションに対する世界支出額が、2023年に約160億ドル(約1兆6908億円)に達すること、また2018年~23年までの5年間にわたる年間平均成長率(CAGR)は60.2%で、堅調に成長すると公開レポートで予測しています。 2019年のブロックチェーン関連支出は27億ドル(約2853億円)で、2018年から80%増加すると予測しています。

 

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(引用元:ICD "Worldwide Semiannual Blockchain Spending Guide"

 

  • 2019年世界支出予測の30%は銀行業界が占め、次に大きな産業は、自動車や電子製品製造関連などの組立型製造業や石油業界などの「プロセス製造業」で、計20%を占めるといいます。さらに、プロセス製造業分野の年平均成長率は68.8%としており、どの業界よりも支出の成長が速いと見ているようです。
  • ブロックチェーン技術開発では、IT関連サービスと、財務・経理・調達・購買などを含むビジネスサービスを合わせたものが世界支出の70%を占めると予想されています。これらのサービス分野以外ではブロックチェーンプラットフォームソフトウェアが最大の支出分野と見込んでいます。
  • 国別予測では、米国が約11億ドル(約1162億円)をブロックチェーンに費やし、2番目が西ヨーロッパの6億6100万ドル(約699億円)、3番目が中国の3億400万ドル(約321億円)とされています。またIDCによると、ブロックチェーン関連支出は、予測対象の9地域すべてで驚異的に増加すると見なしており、なかでもカナダのCAGR予測は73.3%という高さになっています。

香港、政府とデモ隊の対立が加速する中、BTC取引価格高騰
政府とデモ隊の対立が収まらない香港では、取引所でのビットコイン取引価格が他国の取引所より高くなっていることが相次いで報じられています。 政治的な混乱から「安全資産」としてビットコインを買う人が増える一方、プライバシー保護の観点からの買いも見られているようです。

香港では、交通系ICカードである「オクトパスカード」が公共交通機関への乗車やコンビニやレストランでの支払い手段として普及しています。しかしデモに参加する若者は、「香港政府に取引データを追跡され、デモに参加したかどうかタグづけされる」ことへの恐怖から、オクトパスカードの利用を拒否しているようです。報道によると、デモが始まった今年6月時点で、オクトパスカードへのチャージを避け券売機に並ぶという「普通ではない」光景が出始めていたといいます。

現在、ビットコインは「デジタルゴールド」として資産の地位を確立しつつありますが、将来的にはプライバシーに関する社会問題がさらなる飛躍のきっかけになるという見方もあります。とりわけ、キャッシュレス社会が進展する中、中央政府や大企業に取引データを管理されることで利用者はプライバシーを損失して自立した生活ができなくなるという見方が出ています。プライバシーや匿名性の機能で課題も多いビットコインですが、政府からの「自由」や「自立」をビットコインに求める人も多いようです。

政治・規制領域

ニュージーランド税務当局、仮想通貨による給与支払いは合法
ニュージーランドの税務当局は、ビットコインやイーサリアムなど仮想通貨での給与支払いは合法であることを認め、ガイダンスを公表しました。 ガイダンスによると、対象となるのは給料や賃金での支払いの場合のみで、自営業は対象になりません。仮想通貨が課税対象となるには、仮想通貨が通貨として機能するか、1つ以上の法定通貨に連動していなければならないとし、法定通貨と直接的に交換可能な仮想通貨のみ課税対象になると発表しています。

英税務当局、脱税摘発のため仮想通貨取引所に顧客氏名と取引履歴を要求
英国の税務当局にあたる歳入関税庁(HMRC)は、脱税など不正取引の発見のため、仮想通貨取引所に顧客の氏名と取引履歴を提供するよう要求しました。 少なくともコインベース、eToro(イートロ)、CEX.IOの3社に求めているといいます。HMRCは、脱税を行っている個人の特定のため、仮想通貨取引所と協力することを目指しています。

但し、取引履歴は過去2-3年程度のものしか調査されないとの見方もあり、2012~13年の早い段階で仮想通貨取引を行い最大の利益を得た個人は影響を受けず、仮想通貨の価格が高騰した頃に取引を始めた者達が最も影響を受けると指摘されています。

日本では今年3月に国税通則法が改正され、事業者への情報照会の法的根拠が明確となりました。これにより、来年1月から事業者に対する情報照会が行えるようになります。

社会領域

北朝鮮のサイバー攻撃、最大のターゲットは韓国か
国連(UN)は、北朝鮮による17カ国に対するサイバー攻撃35件を調査しています。発表によると、推定20億ドル(2100億円)がハッキングされ、大量破壊兵器の資金源になっているようです。国別に見ると、韓国が最もターゲットとされている国で10件、続いてインドが3件、その他、アフリカ、中央および南アメリカ、東南アジア、中東、欧州で攻撃がみられました。大胆な犯行のなかには、国際銀行間通信協会(SWIFT)を狙ったものや、チリの従業員をLinkedin経由で「ヘッドハンティング」するなどの行動、また対象国にあるATMシステムにマルウェアをインストールした攻撃が発見されています。

韓国の取引所は2019年以降にターゲットにし始めたとされ、韓国取引所ビッサムはこれまで4回に渡り攻撃を受け、約70億円に及ぶ損失があったとされています。また、ある匿名の仮想通貨取引所に対する2018年の攻撃で盗まれた資金は、「取引が少なくとも5000に分けられ、さらに複数の国々を迂回して」動かされたといいます。

マイニングに関しては、コンピューターにマルウェアをインストールし、システムリソースを使用することで攻撃者に代わって仮想通貨をマイニングする「クリプトジャッキング」が主流で使用されているといいます。

欧州中央銀行、仮想通貨の統計データの分析強化へ
欧州中央銀行(ECB)は、仮想通貨取引の統計データの調査や分析の改善に向けて動き出しています。 ECBは7日に報告書「仮想通貨の理解、そのリスクと評価問題」を公開 し、仮想通貨関連データの不足が規制当局や金融機関にとって大きな課題となっていることを指摘しています。

実体経済に対する仮想通貨のリスクと波及効果は、その相互関連の度合いに依存していると分析し、実体経済へのリスクを把握するために、仮想通貨の定性的・定量的な分析を改善する必要があるとしています。分散型台帳技術基盤の仮想通貨ネットワークの公開性は、広く透明性を提供する一方、分散型であり、パッチワーク的に規制された仮想通貨関連の活動をシステマティックなデータとして収集することは複雑な作業です。これはオンチェーン、オフチェーン双方において確固たるデータが欠如している原因の一部で、仮想通貨市場の一部分しか見られない状態になっているといいます。

そこでECBは、仮想通貨関連のデータギャップを埋めるため、ECBを含む中央銀行コミュニティによる統計的なイニシアティブを実施していくようです。ECBでは様々な新しい統計的方法論の採用や、仮想通貨インデックスのベストプラクティスの開発に焦点を当てていくとしています。

ビジネス・事業領域

仮想通貨取引所Coinbase、英大手バークレイズとの提携解消
英国の大手銀行バークレイズが米国の仮想通貨取引所コインベースとの提携関係を解消しました。Coinbase利用者は、英国の銀行間の即時決済スキーム(FPS)を介してポンドの即時入出金が可能でしたが、今後は不可能となります。

提携解消理由は明らかにされていませんが、報道によると、関係者は「バークレイズのリスク許容度が少し下がったのでは」と述べています。Coinbaseはバークレイズの代わりにクリアバンクと提携し、第3四半期(7-9月期)終わりまでにFPSサービスを復活させる見込みだといいます。

BTCマイニング企業のビットフューリー、AI部門立ち上げ
仮想通貨のユニコーン企業であるビットフューリーが、AI(人工知能)部門を立ち上げました。 大量に取得したデータ分析の効率化が狙いだとし、ビットフューリーCEOは、これまで大量のデータを集めてきたものの「たった2%しか分析できておらず、98%は待ちの状態だ」と述べています。

但し、ビットコインのファンジビリティ(代替性)についての懸念の声も挙げられています。 ユーザーの特定のために訓練される AI/ML(機械学習)の性質から、AIがある特定のアドレスの取引履歴が「疑わしい」と判断すれば、そのアドレスから送られる1BTCと他の1BTCが同じ価値を持たなくなります。そうした事態を避けるために、プライバシー向上技術(PETs)を使ったウォレットが普及し、スタンダード化する必要性が指摘されています。

プロトコル・インフラ領域

Coinbase決済用プラットフォームにUSDC受け入れか、イーサリアム「CREATE2」利用

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(引用元:Coinbase Commerce Website

Coinbaseが運営する仮想通貨決済「Coinbase Commerce」は、ドル建てのステーブルコイン 「USDC」を支払い手段として受け入れることを発表しました。 USDC受け入れは、イーサリアム新機能「CREATE2」利用により可能となっており、開発者らは、スマートコントラクトの将来的なディプロイを事前に行うことができます。大幅なコスト削減に繋がるようです。

法人向けブロックチェーン「サイファリウム・エンタープライズ」、グーグル クラウド上で利用可能に
独自ブロックチェーンプラットフォームを展開するサイファリウム(Cypherium)は、グーグル運営のクラウドサービス「グーグル クラウド プラットフォーム(GCP)」において、法人向けの「サイファリウム・エンタープライズ」が利用できるようになったことを発表しました。セキュリティ脅威の軽減と相互運用性に加え、毎秒数千のトランザクションに対応できるスケーラビリティの改善、分散化を実現することを目的としていると言います。同社CEOは、「金融業界における分散型台帳技術(DLT)の需要とそれ以上のものが、今回の取り組みを後押ししている」と述べています。

プログラミング言語Javaで記述できるスマートコントラクト実行環境(CVM)を採用し、グーグルのアンドロイドで採用されているJava実行環境(Dalvik)と同様の設計を基にしており、モバイルデバイス上での高速動作も考慮しているようです。

 


その他のトピック

市況・投資領域

  • 11日、ゴールドマンサックスがエリオット波動理論を根拠に1万2916ドル~1万3971ドルへの上昇を予測していたことがSNS上で拡散されましたが、後にこれはゴールドマンサックスの公式見解ではないことが報じられました。
  • 主要仮想通貨取引所決算が発表されました。
    • GMOコインは、売上高が26.5%増の20億4000万円、営業利益が3億6400万円の黒字となりました。
    • DMMビットコインは、売上高が前年同期比170%増の50億円、営業利益は9億8200万円の黒字となりました。
    • ビットポイントジャパンは、売上高が前年同期比77%減の2億500万円、営業損失は3億2100万円の赤字となりました。これは6月末時点のもので、7月に発生した仮想通貨流出事件の影響は受けていません。売上高減少は大口取引が減少したことが影響したといい、営業赤字の原因はシステム開発の費用が増えたことにあると発表されています。

 

政治・規制領域

  • 米証券取引委員会は、ICO詐欺容疑でNY拠点の男を起訴しました。 未登録でICOを実施し、約1480万ドル(約16億円)を稼いだとされます。
  • 韓国の金融情報分析院(FIU)は仮想通貨取引所を直接監視する計画を明らかにしました。FATFが定める基準の反映を目指しています。
  • イラン政府は、国内での仮想通貨によるトレード活動の合法性を認めないという法案を承認しました。 新たな法案は仮想通貨を法定通貨として認めず、イランの中央銀行はその価値を保証しないとしています。
  • ピアツーピア(P2P)のメッセージアプリ「ビットメッセージ」の開発者ジョナサン・ウォーレン氏は、13日、自称サトシ・ナカモトのクレイグ・ライト氏の裁判で証言に立ち、ライト氏が裁判所に提出した文書の一部が偽造であることを証言しました。

社会領域

  • インドのモバイル通信大手「リライアンス・ジオ・インフォコム(Reliance Jio Infocomm)」が、世界最大級のブロックチェーンネットワークを構築予定であることを明らかにしました。ブロックチェーン導入に関して、インドの顧客自身が自分のデータやプライバシーを管理するモデルを構築する好機であるとし、プライバシー強調を目指しています。2019年4月には、ソフトバンクによる最大30億ドル(約3161億円)の出資計画が報じられていました。
  • Coinbaseの元CTOであるBalaji Srinivasan氏が、スタンフォード大のCryptography Group責任者のDan Boneh教授と共に、DeFi(分散型金融)ブロックチェーン・プロジェクトであるFindoraの戦略アドバイザーに就任しました。 Findoraは、誰でも参加し、金融サービスを開発できるグローバルな金融インフラの建設を目標としています。

ビジネス・事業領域

  • 世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmart社が、ブロックチェーンを用いてドローン間で情報を発信・共有できる技術の特許を今月初めに出願していたことが明らかになりました。 同社は同日に独自の暗号通貨の特許も出願しています。
  • Eコマース大手オーバーストックの仮想通貨子会社tZEROは、一般投資家でもセキュリティトークンの取引ができるようになったことを発表しました。 かつてセキュリティートークンの取引は、純資産100万ドルなどの条件を満たす適格投資家に限定されていました。
  • メッセージアプリ「カカオトーク」を運営する韓国のカカオは、カカオトーク上に公開予定の仮想通貨ウォレット「クリップ(Klip)」のページを一部公開しました。 報道によると、ウォレットは実際にカカオトークに追加される予定で、今回、カカオトークの「More」タブに同ウォレットのページが追加されました。同ウォレットは今年後半に公開予定とされています。
  • 米元ボクサーのマイク・タイソン氏が、新たなブロックチェーン基盤のクロスエンターテイメントプラットフォーム「Fight to Fame」を先導することが判明しました。 ソーシャルメディアやリアリティTV、映画、ゲーム、生中継、賭けなどを通じて、若いボクサーを育成する狙いがあるようです。タイソン氏が同企画委員会の委員長を務めます。